BACKHOME
大日本水産会
LINE

大水ニュースレター
第664号

BUTTON 韓国、本気で「IQ撤廃」主張へ BUTTON
中須大水会長が訪韓しFTAで意見交換
12月合意目途に議論本格化

大日本水産会の中須勇雄会長は、WTO/FTAの進展により日韓水産業者の関係悪化を回避するため8月24〜26日に訪韓し、水協中央会、韓国水産会、海洋水産部の幹部と率直な意見交換を行ない、帰国後の9月1日に記者会見し「韓国側は日本のIQ制度撤廃にかなり本気で臨んでくる。日本側も性根をすえて国内で徹底議論すべき時がきた」と語った。

中須会長は韓国に対し、 1.日本のIQ制度を快く思っていなくてもWTOの場では中立的立場にたつとともに、資源の持続的利用に資する貿易ルールづくりに向け水産物非関税撤廃反対を貫いてほしい 2.FTAにおいて、IQ撤廃を提案しないでほしい 3.資源管理と貿易ルールは結びついている。韓国との間で水産物関税が引き下げられれば対日輸出をしやすくなるだろうが、水産物の資源管理がしっかり行われていることが前提。日韓暫定水域はじめ資源管理措置を確立させた上で貿易問題を話し合うべき−の3点を申し入れた。

これに対し、民間団体である水協中央会と韓国水産会は「WTOでの日韓協調体制は重視したい」としつつも、IQ制度に対しては韓国水産関係者の中でも魚種によって、また生産者と輸出業者で利害が異なるため意見が一致していないという。中須会長は「IQを撤廃しても誰も得をしないのではないか」と呈したが、「完全自由化はFTAの基本姿勢」と回答。日本の貿易制度のなかで、韓国のみ魚種枠でなく国枠となっていることなどから、損得より「日本のやり方」に対して否定的な感情が底流にあることも示唆された。資源管理と貿易ルールについては全く異論がでなかった。

海洋水産部では朴徳培次官補らと懇談したが、韓国政府は「FTAでのIQ制度撤廃」を明確に打ち出した。しかしWTOの場でどうするかは、まだ態度を決めていない。資源と貿易ルールについても「IQ品目が全て暫定水域と結びついているものではない。資源管理は日中韓3国の民間ベースで取り組むべき問題である」とした。

注目すべきは官民の幹部が「日本はIQ堅持のみ主張するが、ただ堅持と言うのではなく、関税枠を下げる、手続き緩和など具体案を提示すべき」と異口同音に語ったこと。

民間も現状のIQがいいとは思っておらず、日本側は維持したいならば、運用しやすい制度とするよう努力すべきとする韓国側の意向が端的にでた。

中須会長は「韓国とのFTAは来年12月合意を目途に進められ、今秋にもオファー交換に入るが、韓国はかなり本気でIQ撤廃に臨んでくると思われる。日本側も性根をすえて国内で、今後のIQ制度について徹底議論すべき時がきた。FTAは相互にメリットを感じなければ意味がない」と語った。