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大日本水産会
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大水ニュースレター
第726号

BUTTON 「漁獲割当制度」導入など貴重な意見も BUTTON
大水、システム協会が漁業活性化推進でシンポ

大日本水産会と海洋水産システム協会は12月1日午後1時から、三会堂ビル・石垣記念ホールで日鰹連、全漁連、近鰹協、全まき協、日トロ協など12の生産者団体の協賛により「漁船漁業活性化中央シンポジウム」を開催した。シンポには250名が出席し、「漁獲割当制度」の導入を求める発言など、活性化へ向けて貴重な意見が相次ぎ、関係者が共通した認識を持ちつつ、漁船漁業構造改革の必要性と重要性をアピールした。

同シンポでは中須勇雄大水会長の主催者挨拶に次いで水産庁研究指導課の平石課長補佐が「漁船漁業構造改革推進会議の進捗状況と今後の方向」について講演した。続いて今後の漁船漁業あり方をめぐり明神水産の明神照男会長、小樽機船漁協の佐藤竹榮組合長、波崎漁協の石田洋一組合長、青森県・泊漁協の金野参事、システム協会の安藤和昌功労会員の5氏が意見発表を行なった。

休憩をはさみ、小坂智規大水常務の司会で参加した関係者も加わって討論を行い、最後に東京水産大(現東京海洋大)の大海原宏名誉教授がシンポジウムを総括し、システム協会の土屋孟会長の挨拶で終了した。

主催者挨拶した中須勇雄会長は「世界の水産をめぐる状況は大きく変わり、生産は抑制されながら、需要が伸び価格が上昇している。ノルウエーのサバは日本の加工業者が中国に競り負ける場合もある。食べ物の世界は輸入もあり、肉もあり、そうした中で魚をどう食べてもらうか考える必要がある。世の中が大きく変化する中で、現在の水産の仕組みをその変化に合わせてどう改善するか考えなければならない。技術だけでは解決できない問題もあり、今日のシンポでの検討を踏まえ、次のステップに向けて議論をつみ重ねていただきたい」と語った。

今後の漁船漁業あり方について明神会長は「現行の制度では水揚げを重視し漁獲競争、高コスト経営にならざるを得ない。日本でも漁業者への漁獲割当制度を導入すれば、その枠の中で収益の向上が図られる」、佐藤組合長は「道内の沖底船の船齢は平均19年4ヶ月と長く、安全性や生産効率が低下しており、荷役や網修理の協業化、プラスチック魚函の採用、軽量の新網の開発、漁獲物の鮮度向上などコスト削減を追及している」、石田組合長(欠席のため長島システム協会専務が代読)は「今後のまき網操業はミニ船団化が必須だが、課題である融資制度の見直し、リース制度採用など導入環境の整備が必要だ」、金野参事は「安全で省エネ操業につながる昼イカ漁への転換、新型イカ釣り機開発、ウニ・アワビ増養殖の取組みで生き残りを図っている」、安藤氏は「漁船の代船建造が低下し船令25年などの老朽船が目立っているが、船別TAC制の導入、総トン数規制を見直すなどして新船建造の意欲を高めたい」とし、活性化へ向けての意見が相次いだ。