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大日本水産会
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BUTTON 日韓・日中新漁業協定について

日韓新漁業協定は、両国が国連海洋法条約に沿って200海里体制を確立するため交渉を進め、1998年9月に基本合意に達し、11月28日に両国が署名、1999年1月上旬までに両国国会で承認され、1月22日の批准書交換により発効し、双方の200海里水域内での操業条件を巡る交渉も2月5日合意された。これにより、1965年の日韓国交正常化以来、34年間にわたって続いてきた、両国の漁業体制は、国連海洋法条約に基づく新たな漁業秩序に移行した事は喜ばしい出来事であったが、広大な暫定水域内の管理等を決める日韓漁業共同委員会協議が進展しておらず、非常に未解決の問題が大きい。

一方、日中漁業協定は1997年11月に署名がなされ、既に1年半以上の月日が経過したがいまだ発効せず、中国漁船は何ら新しい制約を受ける事なく旧来の操業を続けており、両国政府間の漁業協議は全く進展がみられず、より速やかな新協定の発効が不可欠とされている。

日韓中の3国が操業する東アジア水域はこれまでロシア以外には200海里体制にどの国も移行していなかった。1993年にFAOの水産委員会で世界中の水産資源を分析した際、東アジア水域は最も過剰に開発の進んだ水域とされた。魚を食べる国民が3ヶ国も集まって操業しながら、漁業資源管理の仕組みは200海里体制以前のままであり、国際社会がグローバルスタンダードとして要求している資源管理の水準からみ れば、東アジア水域は世界で最も遅れている水域であると言われても仕方のない状況である。東アジア水域の漁業資源を守り、持続的に利用する為の最良の方策は日韓・日中の新漁業協定が発効し具体的に機能する事である。

東アジア水域には膨大な過剰漁獲能力が存在することは間違いなく、日韓中3国を合わせた漁獲能力の過剰な部分を、資源量に見合った水準まで削減する必要がある。新漁業体制により、我が国を含め、韓中は自国の200海里水域内で、TACを尺度にして漁獲能力を検証し、その結果、漁獲能力に過剰な部分があれば削ぎ落とされることにならなければいけない。20世紀も終わりつつある現在、東アジア水域が資源を分か ち合い善隣友好の水域になるには、日本が率先してTAC制度に取り組み、遵守していく方法しかなく、その上で、資源管理体制を東アジアの水域でどう構築するかが次の世紀に向けて日韓中3国が国際社会に対して背負っている共同の責任であろう。
以上