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大日本水産会
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大水ニュースレター
第720号

BUTTON 中須会長が農林漁業金融公庫の存続求む BUTTON
政策金融機関改革合同部会で意見表明

自民党は10月20日16時から党本部で政策金融機関改革に関する合同部会(座長:園田博之衆院議員)を開催し、沖縄振興開発金融公庫、農林漁業金融公庫、国際協力銀行の3政策金融機関、所管府省と3金融機関ユーザーを対象にヒヤリングを行なった。このうち、農林公庫関係では融資を受けている生産者団体の日本農業法人協会、全国森林組合連合会、大日本水産会の3団体代表がそれぞれの立場から、政策金融を必要とする理由を説明した。水産からは中須勇雄大水会長が説明に立ち、漁業と水産加工業では引続き政策金融による支援が不可欠だとし、農林公庫の存続を強調した。

中須会長は説明の中で「漁業は多くの関連産業とともに地域経済の重要な柱であるが、資源の悪化等で生産量が減少し、昨今の燃油高騰もあって経営は厳しさを増している」と現状を説明。次いで、金融環境について「漁業経営が不安定なため、市中金融機関は運転資金の融資は行なっても、高価な漁船建造に必要な長期低利の建造設備資金には応じてくれず、公庫に頼らざるを得ないのが現状だ。まき網漁業で1ヵ統4隻の船団を2隻に減らし、省エネ・省コスト船に転換する構造改革を追求した時も公庫資金で実現できた」と、公庫資金の必要性を訴えた。

また、漁業と同様の立場にある水産加工の分野でも「国内生産の7割が加工されて消費者に提供されており、民間で対応できない加工施設整備での長期低利の政策金融が不可欠で、漁業ともども農漁公庫の存続と強化をお願いしたい」述べた。

漁業金融の現状をみると、15年度末の漁業向け貸出し残高は1兆6,600億円で、うち系統金融機関が1兆800億円(65%)、銀行・信金が4,600億円(28%)、農林公庫900億円(5%)、その他300億円(2%)となっており、民間金融に占める割合が93%と極めて高い。しかし、農林公庫は民間では対応できない平均貸付期間10年、1件1億円(16年度)という沖合・遠洋を対象にした長期・大型の施設資金を融通しており、漁業の命ともいえる漁船建造には欠かせない資金となっている。このほか、漁業との連携による加工施設資金も融通している。

その反面、市中金融機関は収益性の低い漁業への融資には関心が薄い上、長期・大型の漁船設備資金への対応ノウハウがなく、5年前後の短期運転資金に限定した対応振りとなっており、この点からも特に漁船建造の分野で公庫資金が必要となっている。

20日のヒヤリングでは、出席した議員から「各公庫が持つ機能を十分見極め、どの部分を残し、どの部分を民間に任せるかメリハリを付けた対応が必要」など、様々な意見が表明された。次回の合同部会は10月25日に予定され、金融庁の意見を聞くとともに、政策金融機関統合の賛否両論を著名人から聴取する。