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大日本水産会
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大水ニュースレター
第735号

BUTTON 窮状打開へ漁業者が率直な意見 BUTTON
自民党水産総合調査会が銚子で意見交換会

自民党水産総合調査会(鈴木俊一会長)は2月6日、千葉県銚子市で底曳網用に開発した大型クラゲの防除装置を視察し、引き続き銚子漁協で6回目となるフィッシャリーズ・ミーティングを行なった。ミーティングではまき網漁業者、小型底曳漁業者、加工業者、婦人部代表などからの率直な意見に対し、出席の議員からは「基本計画の見直しなど、今後の水産政策に反映したい」などの表明あった。視察には鈴木会長のほか浜田靖一水産基本政策小委員長、北村誠吾水産部会長代理、林幹雄水産総合調査会副会長(以上衆院議員)、常田享詳水産部会長、鶴保庸介前水産部会長(以上参院議員)が同行。水産庁から重義行研究指導課長、業界から坂井淳漁港協会会長、宮原邦之全漁連専務、石原英司大水専務らが参加した

今回視察したクラゲ防除装置は、水工研漁法研究室の渡辺俊広室長を中心に開発され、底曳網の内部にグリッドという斜め上下に仕切る格子状の枠を取り付け、クラゲはグリッドの上部への誘導で網本体の天井部分から排出され、漁獲物はグリッドをすり抜けて網の底の部分を通って袋網に取込まれる仕組みで、これでほぼ100%クラゲが除去できる。銚子では現在低水温のためクラゲが海底に沈み、小底の1時間の曳網で数トンものクラゲが入網し、転覆の危険もあるという。

会場を銚子漁協に移して行なわれたフィッシャリーズ・ミーティングでは、まず鈴木会長が「過去5回各地でミーティングを行なってきた。水産は戦後30年毎に転換期を迎え、昭和20年代は食料難の中で増産目的の政策がとられ、50年代は200海里時代に対応した政策が求められ、現在は資源減少による生産力が低下、魚価の低迷へ対応した政策を求められている。加えて燃油の高騰、大型クラゲの出現など予測できない事態も生じ、従来の延長線上では乗切れない厳しさがある。この時期に水産基本計画の見直しが行なわれ、年内の議論を経て来年新計画が策定されるが、ここでも将来の水産を占う大きな転換期を迎えることになる。日本列島は細長く水産の状況は地域によって異なるので、各地の個別の課題を真摯に受け止め、今後の政策に反映したい」と挨拶があり、意見交換に移った。

銚子市漁協の堀井康司組合長は「銚子は東京の台所的な海とはいえ、燃油・クラゲ問題で厳しさがさらに増している。特に油の値上がりは、小底を例にとると1ヵ月1千万の水揚げで200万〜250万の油代が今は400万〜500万にはね上がり、実に水揚げ額の半分が油代となっている。これでは経営がとても成り立たず、何らかの方策をお願いしたい」と要望した。

このほか出席した関係業者から以下の要望・意見があった。(1)国内生産が減っても輸入が多く魚価が上がらないので、抜本的な輸入対策が必要(2)燃油高騰への対応のため底曳網の生産組合をつくって協業化したいが金融が不安(3)銚子でも小型サバが揚がり輸出を考えたいが港の水深が浅いので大型冷凍運搬船が入港可能な漁港の整備と大型船を整備する上架場の整備を(4)遊漁者に法的規制を。